はじめに
「無形ギフト」は高齢者へのプレゼントを探している方に、モノではなく思い出を贈る方法をご紹介するブログです。
- おじいちゃん、おばあちゃんの喜ぶプレゼントがわからない
- 欲しいモノを聞いても「何もいらない」を言われてしまった
- 口コミやランキングから、とりあえず良さそうなモノを選ぶ
という経験をしたことはありませんか?
大切な人へのプレゼントでは、相手に喜んでほしいし外したくないと思うものです。しかし、相手の欲しいモノがわからないとプレゼント選びはむずかしくなります。
高齢者にモノを贈る場合は、管理コストについて考えてみましょう。なぜならモノには保管場所を確保したり管理をする必要があり、高齢者には負担になることがあるからです。
もしも自分が贈ったモノが相手の負担になっていたら悲しいですよね。
プレゼントは感謝やお祝いの気持ちを伝える手段であり、必ずしもモノである必要はありません。子や孫からプレゼントをもらって、「なんだ、モノじゃないのか」と怒る人はいないでしょう。
モノではなく特別な体験や一緒に過ごす時間のプレゼントは、保管場所や管理の必要がなく、心の中に一生の思い出だけが残ります。
これまでプレゼント選びで悩まれていた方は、一度モノではない思い出のプレゼントを贈ってみませんか?
運営者について
はじめまして、むぎと申します。
40代、独身、作業療法士(国家資格)、福祉住環境コーディネーター
もともとは会社員でしたが、祖母の入院をきっかけに作業療法士になりました。
現在は病院で作業療法士として働いていますが、以前は在宅支援のホームヘルパーをしていました。
都内で高齢の両親と暮らしています。
- 好きなこと 時短料理づくり、部屋の片付け、かぎ編み、友人との食事
- 好きな食べ物 辛いもの、豆大福、さつまいも、麦ごはん
- 好きなもの シンプルな服、無印良品
仕事柄、初対面の人と話をする機会は多いですが人見知りです。なので大人数の飲み会などは少し苦手。
交友関係は狭くても深いつながりを大切にしています。
コンセプト
「高齢者の生活を支援する作業療法士が、モノではなく高齢者に特別な思い出を贈る方法を発信する」ことです。
このブログでは65歳以上の方を高齢者としていますが、当然ながら状況はみな同じではありません。
高齢者といっても90歳代で元気に一人暮らしをされている方がいる一方、若くても他者のサポートが必要な方もいます。
作業療法にとって大切なことは、対象者のこれまでの生き方や価値観、その人らしさを尊重することです。
興味や関心、置かれた状況がそれぞれ違うからこそ、その人に合ったプレゼントはきっとみつかります。
個人的なエピソード
このブログを始めるきっかけは、私がプレゼント選びで失敗したかもと感じたことです。その経験から、解決策として「モノではなく思い出を贈る」方法を探すようになりました。
私のプレゼント失敗談を少し…
おばあちゃん編
ある時、90歳を過ぎた私の祖母が引っ越しをすることになりました。祖父がなくなってから祖母は長らく一人暮らしをしていましたが、几帳面な人で家の中はつねに片付いています。
家族で荷造りの手伝いに行くと、寝室の押入れは段ボールや何かの箱たちでギッシリと埋められていました。
モノが多すぎてどうしたらいいかわからない。あなた達が見て必要なかったら処分してちょうだい。
大量の箱たちを自宅に持ち帰り、中身を確認していみると
- 未使用のバッグ(私が米寿のお祝いに贈ったプレゼント…)
- 未使用の帽子(母が誕生日に贈ったプレゼント…)
- 未使用のストール(これも、見覚えがある…)
- 未使用のセーター(デジャブ…)
- デパートの包装紙に包まれたままの未使用のハンカチ(約100枚!)
- 箱に入ったままの食器セットや花瓶(たぶん、引き出物)
など、さまざまな贈り物でした。
私が贈ったプレゼントも、たくさんありました。
祖母のリビングには、私が小さかった頃にみんなで行った旅行の写真が大切に飾られています。今は体力的に旅行に行くことはむずかしいです。
祖母がプレゼントを使わなかった理由はわかりません。プレゼントを贈ったときは、「こんなにステキなモノをありがとう」と喜んでくれていたので、プレゼントの意味はあったと思います。
でも、使われなかったプレゼントを見ると、元気なうちにもう一度旅行に連れて行ってあげたかったなと考えることがあります。
おかあさん編
私の母は、無駄なモノは買わない倹約家です。けしてケチではなく、家族のための健康的な食事などには昔からお金をかけていました。
- 欲しいモノを聞いても、「何もない」と言われる
- 一緒に買い物に行っても、「何もない」と言われる
- 「これで好きなモノを買ってね」と、お金を渡しても結局何も買わない or なぜか家族のモノを買ってくる…
父や子供たちのモノは買うけれど、自分のモノはあまり買いません。母の好みに合いそうなモノをプレゼントしても、使ってもらえなかったことがあります。
一緒に住んでいても、相手の欲しいモノは正確にはわかりません。
ある時仕事の都合で、私の兄夫婦が予定していた旅行をキャンセルすることになりました。直前だったのでキャンセル料がかかるため、「もしよければ」と両親に譲ってくれたのです。
「申し訳ないから」と、はじめは乗り気ではありませんでしたが、
お父さんとふたりで旅行なんて、新婚旅行ぶりだったわ!
と、大満足で旅行から帰ってきました。
母の価値観として
- プレゼントだからといって、特別なモノはいらない
- 自分に必要なモノ(=欲しいモノ)は、自分でじっくり選びたい
- 家族との時間を大切にしている
というものがあります。私が一番おどろいたことは
『本当は、ずっと温泉に行きたかったの』『でも、お父さんは仕事で忙しかったし、しょうがないって思ってた』と言われたことです。
たしかに、父は土日も仕事があったり、残業が多かったりと忙しそうでした。そんな父を置いて、自分たちだけで遊びに行くことはできなかったのです。
父は退職し自由になった時間で、趣味のゴルフやカラオケを楽しんでいます。一方、母は自分のしたいことは言わず、家族のために時間を使っています。
我慢しているわけじゃないと言ってますが、長年の習慣がそうさせているのだと思います。
現在母にはモノにこだわらず、特別な体験や一緒に過ごす時間をプレゼントしています。
母のしたいことや、母の価値観を尊重することで、「プレゼントしても使ってもらえないかも」という心配がなくなりました。
さいごに
「親孝行したいときに親はなし」という、ことわざがあります。親孝行をしたいと思った時には親が生きておらず、親孝行ができないという意味です。
「いつか一緒に温泉に行こう」「いつか行きたがっていた〇〇に招待しよう」と思っていても、相手が元気なうちは先延ばしにしがちです。実際にその「いつか」が来る保証はどこにもありません。
高齢者へのプレゼントは感謝やお祝いの気持ちであり、モノである必要はありません。
もしも、今高齢者にプレゼントを探している方がいたら、限りある時間の中で、モノではなく特別な体験や一緒に過ごす時間をプレゼントしてみませんか?
無形ギフトを通じてみなさんの感謝やお祝いの気持ちが届き、受け取った人に特別な思い出が生まれることを願っています。